不動産を売却後の譲渡所得計算時に必要となる取得費が不明の場合は?
2020/01/22
不動産売却のコツ売りたい
不動産を売却して利益がでれば、譲渡所得として所得税の課税対象となります。そのため確定申告が必要となりますが、譲渡所得を計算する時には売却した不動産の取得費を把握しておくことが必要です。
しかし不動産を購入して時間が経過している場合など、取得費が不明というケースも少なくありません。
この場合、どのように譲渡所得を計算すればよいのか、取得費不明の時の対処法をご説明します。
譲渡所得を計算する時に必要となる取得費
譲渡所得を計算する時には、不動産の売却価格から、不動産を取得した時にかかった時の費用である取得費、そして売却にかかった費用である譲渡費用を差し引くこととなります。
取得費とは、土地や建物を購入する時にかかった費用なので、建築費用や住宅設備、土地改良にかかった費用などの合計金額です。
取得費に含まれる費用とは、
・土地や建物の購入代金
・建築代金
・購入する際にかかった登録免許税や不動産取得税、印紙税などの税金
・仲介手数料
・測量費
・整地や建物の取り壊しにかかった費用
・設備費
・改良費
・一定の借入金利子
などです。
なお、建物については、不動産の購入金額や建築費用から減価償却費相当額を差し引くことになります。
譲渡費用とは?
譲渡費用とは、不動産売却を行う際に直接発生した費用なので、不動産仲介業者に支払った仲介手数料や印紙税などが含まれます。
取得費が不明の場合はどうすればよい?
売却対象となる不動産を購入する時にかかった費用が不明という場合、概算取得費を用いることができます。
特に親から相続した不動産など、代々引き継がれてきた住宅を売却する場合などは、住宅を売却したことで得たお金の5%相当分を取得費とする概算取得費を用いることとなります。
取得費が不明でなくても、不動産の売却金額の5%相当分と実際に土地や建物を購入する時にかかった費用を比べた時、取得費のほうが下回っていた場合も同様に概算取得費を用いて計算します。
概算取得費を適用せずに計算する方法もある
この概算取得費が適用されるのは、租税特別措置法では昭和27年12月31日以前から所有していた土地や建物を売却する場合とされていますが、それ以降の取得のケースでも適用することが可能です。
取得費を証明する際には売買契約書を用いることが基本となるため、紛失していて証明できないなら、原則、概算取得費で計算することになると認識しておきましょう。
ただ、昭和28年1月1日以降に得た建物や土地などは必ず概算取得費を適用させなければならないわけではなく、国税庁が公表している建物の標準的な建築価格表、さらに一般財団法人日本不動産研究所の市街地価格指数などで取得費を算出することもできる場合もあります。