建物の外観
建物の外観のチェックすべきポイントは、4つあります。
1.基礎の状態:ひび割れ(クラック)がないか
建物の基礎は、構造全体を支える非常に重要な部分です。基礎にひび割れがある場合、建物全体の耐久性や安全性に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、基礎の角や窓枠周りなど、応力が集中しやすい場所にひび割れが見られる場合は注意が必要です。内見の際には、基礎全体を目視で確認し、ひび割れの有無やその程度をチェックしましょう。
2.外壁の状態:塗装の劣化・コーキングの傷み・木部・鉄部の腐食がないか
内見時には、まず外壁の塗装状態を確認しましょう。塗装が剥がれていたり、色あせていたりする場合は、外壁の防水性が低下している可能性があります。また、コーキング部分の劣化も重要なチェックポイントです。コーキングとは、外壁の継ぎ目や窓枠の隙間を埋めるシーリング材のことで、これが劣化すると、外壁から水が侵入する原因となります。コーキングがひび割れている、または欠けている場合は、早急に修繕が必要です。木部や鉄部の腐食も見逃してはいけません。木部が腐食している場合、シロアリ被害や腐朽菌による劣化が進行している可能性があります。
3.屋根の状態:漏水や劣化の跡があるか
内見の際には、屋根の状態を慎重に確認することが重要です。特に、漏水や劣化の跡がないかどうかを重点的にチェックしましょう。屋根の劣化は、目視で確認できる場合もありますが、屋根裏の点検も行うことで、より確実に状態を把握することができます。屋根材が割れていたり、ズレていたりする場合、そこから雨水が侵入し、内部の木材や断熱材がダメージを受ける可能性があります。
4.外周の植栽や敷地の状態:メンテナンスの行き届き具合を確認
建物の外観と同様に、敷地の状態や外周の植栽も内見時に確認すべきポイントです。敷地や植栽のメンテナンスが行き届いているかどうかは、その物件がどれだけ丁寧に管理されてきたかを示す一つの指標となります。敷地内の雑草が放置されている、樹木が過度に成長して建物に影を落としている、あるいは庭が荒れたままである場合は、管理が不十分である可能性が高いです。敷地の管理がしっかりと行われている物件は、建物自体も大切にされていることが多いため、外周の植栽や敷地の状態を確認することで、その物件がどれだけ良好な状態で維持されているかを判断することができます。
家の内部
家の内部のチェックすべきポイントは、10つあります。
5.床下
家の内部の中で床下のチェックすべきポイントは、6つあります。
湿度
床下には、湿気が溜まりやすく、湿気が多いとカビの発生や木材の腐食が進行する可能性があります。湿気が原因で木材が劣化している場合、床鳴りや床のたわみが発生し、さらにはシロアリの被害が広がるリスクもあります。
配管からの水漏れ
床下には、給排水管が通っていることが一般的です。これらの配管が劣化していると、漏水の原因となり、床下の湿度をさらに高める要因となります。内見時には、床下の配管を目視で確認し、水漏れの跡や配管の腐食がないかをチェックすることが重要です。
カビ
床下のカビは目に見えないため、内見時には床下点検口を開けて確認することが推奨されます。カビが発生している場合、独特の臭いがすることがありますが、視覚的には黒や緑の斑点が木材やコンクリート面に見られることが多いです。カビが床下に発生していると、建物全体の空気環境にも悪影響を及ぼします。
基礎のひび割れ
床下の基礎部分は、建物の安定性を左右する重要な要素です。基礎にひび割れがある場合、その原因を特定し、修繕が必要かどうかを判断することが求められます。ひび割れが小さなものであれば、コンクリートの経年劣化によるものかもしれませんが、大きなひび割れや多数のひび割れが見られる場合は、地盤沈下や構造的な問題を示している可能性があります。
断熱材の状態
床下に断熱材が設置されている場合、その状態も確認しておくべきです。断熱材が湿気を吸って劣化していると、断熱性能が低下し、冬場の冷気が床から伝わってくるようになります。
シロアリ
シロアリは、木造建物にとって最も恐ろしい害虫の一つです。シロアリが発生していると、木材を内部から食い荒らし、建物の強度を著しく低下させます。床下はシロアリが好む湿度の高い環境であるため、内見時にはシロアリの痕跡がないかを慎重に確認する必要があります。シロアリ被害の兆候としては、床下の木材に穴が開いていたことや木屑が散乱している場合があります。また、シロアリが活動している場合、羽アリが発生していることもあります。羽アリを発見した場合、その周辺にシロアリの巣が存在する可能性が高いです。
参考:https://www.amemiya.co.jp/columns/978/
6.屋根裏
家の内部の中で床下のチェックすべきポイントは、4つあります。
断熱材の状態
屋根裏は、夏場の暑さや冬場の寒さを防ぐために、断熱材が重要な役割を果たしています。内見時には、屋根裏に上がって断熱材の状態を確認することが推奨されます。断熱材が劣化していると、室内の温度管理が難しくなり、冷暖房の効率が悪化します。断熱材が適切に配置されているか、断熱材の上にゴミやほこりが積もっていないかを確認することも重要です。
配管のつなぎ目
屋根裏には、配管や電気配線が通っていることが多く、これらの状態も確認しておくべきポイントです。特に配管のつなぎ目は劣化しやすく、そこから水漏れが発生する可能性があります。水漏れが起こると、屋根裏の木材や断熱材が濡れて劣化し、建物全体に悪影響を及ぼすことがあります。配管のつなぎ目がしっかりと固定されているか、漏水の跡がないかを目視で確認しましょう。
動物や鳥の巣などがないか
屋根裏は、時折、動物や鳥が巣を作る場所になることがあります。これらの生物が住みついていると、屋根裏の断熱材を傷つけたり、配線をかじったりすることで、建物に被害を与えることがあります。内見時には、動物や鳥の糞や羽、巣の跡がないかを確認し、もし発見された場合は、駆除が必要です。
雨漏りの形跡がないか
屋根裏は雨漏りが発生しやすい箇所でもあります。特に屋根材やその接合部分が劣化していると、雨水が屋根裏に侵入し、木材や断熱材を傷める原因となります。雨漏りの形跡を確認する際には、屋根裏の天井部分や壁にシミや変色がないかを目視でチェックすることが大切です。
参考:https://www.sakurajimusyo.com/guide/10887/
室内の設備・間取り
室内の設備・間取りのチェックすべきポイントは、5つあります。
7.水回りの設備
まず、キッチンのシンク下の収納スペースを開けてみて、水漏れや配管の劣化がないかを確認しましょう。シンク下の水漏れは、気付きにくい場所で発生しやすく、放置されると床材の腐食やカビの原因となります。また、キッチンの蛇口やシャワーヘッドが正常に作動するか、給湯器の温度調節がスムーズにできるかも確認しましょう。
トイレでは、便器の周りに水漏れの跡がないか、排水がスムーズかどうかを確認することが重要です。古いトイレの場合、便器のシール部分や排水パイプが劣化していることがあり、これが原因で水漏れが発生することがあります。
バスルームでは、浴槽やシャワーヘッド、排水口の状態を確認することが大切です。浴槽の周りにカビや水垢がないか、排水口が詰まっていないかをチェックし、シャワーヘッドからの水圧が十分であるかも確認しましょう。
8.間取りの確認
各部屋の広さは、家具の配置や家族構成に適しているかを判断する材料となります。例えば、リビングルームが広く取られている場合、家族が集まりやすく、快適な生活空間を提供します。一方で、寝室や子供部屋が狭すぎると、プライバシーの確保や収納スペースの確保が難しくなることがあります。また、クローゼットや押し入れの大きさ、数、位置などを確認し、日常的に使用する物品がしっかりと収納できるかを検討しましょう。
9.内装
壁のクロスが剥がれていたり、浮いていたりする場合、内部に湿気が溜まっている可能性があります。特に、シミやカビが広範囲にわたっている場合は、単なる外見上の問題ではなく、構造的な問題を抱えている可能性が高いです。
10.クローゼットや押し入れなどがカビ臭くないか・シミがないか
クローゼットや押し入れは、は通気が悪く、湿気が溜まりやすい場所であるため、カビが発生しやすい環境にあります。内見時には、クローゼットや押し入れの扉を開けて内部をしっかりと確認しましょう。
11.建具の確認
まず、ドアの開閉がスムーズに行えるかを確認します。特に、玄関ドアやベランダへの出入り口のドアは、使用頻度が高いため、その状態が重要です。ドアが開閉しにくかったり、きしみ音がしたりする場合、ヒンジやドアノブの調整が必要なことがあります。また、シャッターや雨戸も、開閉がスムーズかどうか、また錆びや腐食がないかを確認します。襖については、紙が破れていないか、枠がゆがんでいないかを確認します。
参考:https://www.rehouse.co.jp/relifemode/column/life-column/mr-7052/
建物の構造と安全性
12.基礎や柱の状態
建物の基礎や柱の状態をしっかりとチェックすることが重要です。基礎や柱は建物の骨格を支える重要な部分であり、これらが劣化している場合、建物全体の耐久性や安全性に大きな影響を与えます。
13.劣化や補強の必要性
浅い表面的なひび割れであれば大きな問題にはならないことが多いですが、深くて広がっているひび割れは、建物の沈下や構造的な欠陥を示している可能性があります。
14.床の傾きはないか
床の傾きは、建物の基礎や構造に問題がある可能性があり、特に長期間にわたって放置されると、建物全体の歪みが進行する恐れがあります。内見時には、部屋の各所で床の水平を確認するために、水準器を使用するか、ボールを転がしてみると簡単にチェックできます。
15.防犯面の確認
防犯面もしっかりと確認することが必要です。特に、家族や子供の安全を考慮する場合、防犯性の高い物件を選ぶことは非常に重要です。また、近隣住民とのコミュニケーションや自治会の活動状況も、防犯性に影響を与える要素として考慮することが必要です。
16.ドアや窓の鍵、周辺の治安状況を考慮
ドアや窓の鍵がしっかりと機能しているかを確認します。鍵が緩んでいたり、古くなっている場合、簡単に開けられてしまうリスクがあります。ピッキング防止機能付きの鍵や、二重ロックの設置など、防犯性の高い鍵が取り付けられているかをチェックしましょう。また、物件周辺の治安状況も重要な確認ポイントです。近隣に防犯カメラや街灯が設置されているか、夜間の通行がどの程度あるかを確認し、安心して暮らせる環境かどうかを評価します。
建物のエネルギー効率
建物のエネルギー効率のチェックすべきポイントは、2つあります。
17.施工時の断熱材のグレードと現状の保温性を確認
内見時には、壁や天井、床に使用されている断熱材の種類や厚さを確認し、現在の保温性を評価します。特に、屋根裏や床下に断熱材が適切に施工されているかどうかを確認することが重要です。断熱材が劣化している場合、風通しが悪くなり、湿気がこもりやすくなるため、これが原因でカビが発生しやすくなります。
18.窓やドアの密閉性
窓やドアの隙間がないかを確認し、特に風が強い日には、隙間風が入らないかをチェックします。また、窓ガラスが断熱ガラスや二重ガラスであるかどうかも重要なポイントです。これらのガラスは、外気の影響を受けにくく、室内の温度を安定させる効果があります。
中古マンション固有のチェックポイント
建物のエネルギー効率のチェックすべきポイントは、10つあります。
19.非常階段
非常階段が錆びていたり、手すりがぐらついている場合、定期的なメンテナンスが行われていない可能性があります。また、非常階段にゴミや障害物が置かれている場合、緊急時の避難が妨げられる恐れがあります。特に、古いマンションでは非常階段が使われる機会が少ないため、劣化や不適切な利用が放置されていることがあります。
20.エレベーター
エレベーターの運転状況を確認し、スムーズに動作するかどうか、また、異音がしないかをチェックします。古いエレベーターでは、摩耗や劣化が進んでいることが多いため、その分メンテナンスや修理の頻度が増える可能性があります。
22.集合ポスト
集合ポストが壊れていないか、鍵が正常に作動するかを確認しましょう。鍵が壊れている場合、他人が簡単に郵便物にアクセスできる状態になっている可能性があり、個人情報の漏洩や不正行為のリスクが高まります。また、ポストが古くなっている場合、郵便物が雨水で濡れたり、盗難されやすくなることがあります。
23.セキュリティ
夜間の安全性に不安を感じることがあるかもしれません。また、周辺に防犯灯や巡回している警備員がいるかどうかも確認し、安全性の高い環境が整っているかを評価することが大切です。
24.駐車場・駐輪場
駐車場のアスファルトやコンクリートの状態が良好であるか、ひび割れや陥没がないかをチェックします。特に、古いマンションでは駐車場のメンテナンスが行き届いていないことがあり、その場合、車の保管環境が悪くなります。
25.共用廊下
共用廊下の床や壁が清潔であり、ひび割れや汚れがないかを確認します。特に、雨が降った後に水たまりができやすい場所や、滑りやすい床材が使用されている場合、転倒のリスクが高まります。また、照明が十分に設置されているか、夜間でも安全に通行できるかを確認する必要があるでしょう。
26.清掃状況
エントランスや共用廊下、エレベーター内など、目につきやすい場所の清掃状況を確認しましょう。ゴミが放置されている、クモの巣が張っているなどの状態が見受けられる場合、管理体制に問題がある可能性があります。また、ゴミ置き場の管理状況も重要です。ゴミ置き場が清潔で整理整頓されているか、悪臭が漂っていないかを確認することが必要です。
27.掲示板に気になるトラブルが貼りだされていないか
騒音問題やペットに関するトラブル、ゴミの出し方に関する注意事項などが頻繁に掲示されている場合、住民間での摩擦が多いことが考えられます。また、同じ内容の注意喚起が繰り返し掲示されている場合、問題が解決されずに放置されている可能性があります。
28.管理組合・修繕状況
管理組合の運営状況や修繕計画の確認は非常に重要です。管理組合がしっかりと機能しているか、定期的に総会が開催されているか、議事録が適切に保管されているかを確認することで、マンション全体の管理状態を把握できます。
総会の議事録を確認することで、過去の問題や修繕計画、今後の方針などが分かります。議事録が適切に保存されていない、または議事録の内容が曖昧である場合、管理組合の運営に不安を感じることがあるかもしれません。
修繕計画についても、必ず確認する必要があります。特に古いマンションでは、大規模修繕が必要となる場合が多く、その計画がしっかりと立てられているかどうかが重要です。修繕積立金が十分に積み立てられているか、今後の修繕計画が具体的に定められているかを確認しましょう。
参考:https://www.homes.co.jp/cont/buy_mansion/buy_mansion_00158/
まとめ
建物の外観から内部、設備、構造、安全性、さらにはエネルギー効率やセキュリティ、共用部分の管理状況に至るまで、多岐にわたるチェックポイントがあります。これらのポイントを押さえ、物件の全体像を把握することで、購入後のトラブルを未然に防ぐことができます。中古マンションの場合、特に管理体制や修繕計画が物件の価値に大きく影響します。管理組合の運営状況や修繕積立金の状況、過去の修繕履歴をしっかりと確認することが、安心して暮らせるマンションを選ぶための鍵となります。