もし、亡くなった被相続人が農業を営んでいた場合、または特定貸付けを行っていた場合、相続税が猶予されることがあります。
相続人が一定農地などを相続し、農業を営む場合や特定貸付けを行う場合には、農地等の価額の農業投資価格による価額を超える部分の相続税額は、農業を営む、または特定貸付けを行う限り納税猶予となります。
農地等納税猶予税額が免除されるケース
この猶予される相続税額を「農地等納税猶予税額」といいますが、次のいずれかに該当した場合には納税が免除となります。
・特例の適用を受けた農地相続人が亡くなった場合
・特例の適用を受けた農地相続人が、特例農地等の全部を後継者に生前一括贈与をした場合
・特例の適用を受けた農地相続人が、相続税の申告期限から農業を20年間継続した場合(市街化区域内農地等に対応する農地等納税猶予税額の部分に限る)
特例を受けるための要件とは?
なお、特例を受けるためには要件が設けられています。被相続人の要件としては、次のいずれかに該当することが必要です。
・死亡の日まで農業を営んでいた人
・農地等の生前一括贈与をした人
・亡くなる日まで農地相続人、または農地の生前一括贈与の適用を受けていたい受贈者で、障害、疾病などで農業に供することが困難な状態だったことから賃借権等の設定による貸付けを行い税務署長に届出をした人
・亡くなる日まで特定貸付けを行っていた人
農業相続人と特例農地等の要件を満たすことも必要
農業相続人となる人も、被相続人の相続人であること以外に、相続税の申告期限までに農業経営を開始し、引き続き農業経営を行う人などの他、いくつか定められた要件のいずれかに該当しなければなりません。
さらに特例農地等にも要件が設けられていますので、国税庁のWebサイトなどで詳しい要件を確認しておくと安心です。
参考:国税庁Webサイト(農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4147.htm
3年目ごとの継続届出書も忘れずに!
なお、特例を受けるためには相続税の申告手続が必要です。
相続税の申告書に、農地等納税猶予税額および利子税額に見合う担保を提供することが必要ですし、申告する際に相続税の納税猶予に関する適格者証明書や担保関係書類など、一定の書類の添付も必要になります。
さらに納税猶予期間中については、相続税の申告期限から3年目ごとに特例の適用を受けるための継続届出書を提出する必要があることも忘れないようにしてください。