不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得として所得税と住民税が課税されることになります。ただし、譲渡所得は他の所得と分離して課税されること、さらに利益が出ずにマイナスになった場合は課税されないということを理解しておきましょう。
また、利益が出そうな場合でも、「3,000万円特別控除の特例」などで税金が課税されなくなる可能性もあります。
課税対象となる譲渡所得はどのように計算する?
譲渡所得は、譲渡収入金額から、取得費と譲渡費用の合計を差引いて算出します。課税対象となる課税譲渡所得は、算出した譲渡所得から特別控除を差引いた額ですが、この特別控除にあたる部分が「3,000万円特別控除の特例」です。
譲渡収入金額とは?
土地や建物の譲渡代金、固定資産税と都市計画税を精算した金額です。
固定資産税と都市計画税は、その年1月1日時点の所有者に対して課税される税金ですので、売主がその年の税金を既に支払っている場合は引渡し時点で精算を行います。
精算日の起算日を1月1日または4月1日とし、売主と買主がそれぞれ負担する額を日割で按分して精算することが不動産取引における慣行となっています。
取得費とは?
土地建物の購入代金と取得の時にかかった費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差引いた金額か、譲渡収入金額の5%分のいずれか大きい金額を取得費とします。
譲渡費用とは?
不動産を譲渡するためにかかった費用のことなので、不動産会社に対する仲介手数料や登録にかかった費用、売主が負担した印紙税の他、立退料、建物取壊し費用、測量費用、名義書換料などが含まれる場合もあります。
居住している期間中の修繕費や固定資産税など、資産の維持管理にかかった費用などは含まれません。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例とは?
居住用の住宅を売った場合には、どのくらいの期間所有していたのかに関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除することができます。
特例を受けるためには適用要件が設けられており、自分が住んでいる家屋を売る、または家屋と一緒に敷地や借地権を売るなどが必要です。また、以前住んでいた家屋や敷地などを売る場合には、住まなくなって3年目を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが必要ですし、他にもいくつか要件があります。
事前に適用要件などの確認を
なお、特例を受けることだけを目的として入居した場合や、居住用家屋を新築する間だけ仮住まいとして家を使用した場合、別荘地としての目的などで保有する家などの場合、特例は適用されません。
特例を受けるためには確定申告が必要ですし、他にも適用されるための要件などがありますので、国税庁のWebサイトなどで確認しておきましょう。
国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm