地方では使われなくなった畑、そして誰も住んでいない家を解体した後の空き地などが増えています。
地方都市や郊外を中心として世帯が所有する空き地が増加しており、農山漁村では所有者がわからない土地が放置されたままになっている状態です。
使用されない土地は人も訪れることがなく、雑草等が生えて荒れてしまいます。このような空き地は人口減少に伴い虫食い的に拡がって今では全国各地で見られています。
なぜ空き地のまま放置されている?
土地に対するニーズが旺盛な都心部での空き地は、計画が具体化されるまでの間未利用になっているケース、そして都市計画の必要性から長期間そのままの状態というケースもあるようです。
しかし全国に増え続ける空き地を放置しておけば、防犯や防災の問題だけにとどまらず行政の効率を悪くし地価の低下を招くことになります。
このため国土交通省は空き地や遊休地の有効利用できるように対策を検討していますが、住宅政策が障壁となっています。
なぜ住宅政策が障壁になっている?
空き家や空き地問題の根の部分には、世帯数を大きく上回る住宅ストックがあります。その理由として住宅ローン減税が住宅の新設を後押ししていると考えられます。
住宅ローン減税はローン残高の1%を所得税額から控除することができます。減税可能となる額は10年で最大500万円となっており、そもそもは消費税率を引き上げる影響の緩和狙いでした。しかし増税のタイミングが延期となるごとに適用期限も繰り下げられて現在では2021年末まで有効となっています。
新設住宅が空き地予備軍を増加させる?
新設住宅でもともと住宅があった場所に建てられている家は10%に満たず、新設住宅が増えるということは将来の空き地予備軍を増やしているとも考えられます。
税制面で住宅建設が後押しされているけれど、その一方で空き地対策も検討しなければならないという状況に陥ってしまっていると言えるでしょう。
どのような対策が講じられている?
現在の日本は住宅過剰社会であると考えられ、野放図な居住地の拡大が止まらない状況です。
自治体ごとに住宅総量に歯止めをかけ、立地により住宅ローン減税の対象となる物件を絞り込むといった案も出ているようです。
しかし国交省が今後この過剰に増える住宅と向き合った上で対策を講じなければ、空き地に対して何らかの策を講じても一時しのぎで終わる可能性があると考えられます。
今後必要になる空き地対策とは?
活用が困難な土地などは、人口減少社会においての土地制度の在り方も含めながら中長期的な視点で検討していくことが必要になってくるでしょう。
工夫次第で活用可能な空き地は、地域の資源として活用していく対策などを講じながら環境づくりを進行することも検討されるべきだと考えられます。