国土交通省は、市町村が空き家所有者の情報を外部に提供するにあたり、法の整備や運用方法、留意点をまとめたガイドラインを公表しています。
空き家がこれ以上増え続けることは、社会にとって大きな問題です。既に問題視されている空き家対策の1つとして、撤去目的だけでなく利活用や流通などを促進していくことが望まれるでしょう。
個人情報保護条例に接触する?
空家特措法の施行で、市町村が保有する課税情報も空き家対策に利用することが可能になっていますが、個人情報保護条例などの問題もあって民間事業者に対しての積極的な情報提供は行われていませんでした。
そのため今回、外部に適切な方法で情報提供が行えるように、ガイドラインが設けられたということです。
情報提供された空き家のその後は?
提供された情報は、空き家の所有者が不明な場合など、課税情報を活用して所有者を特定する調査を実施し、空き家所有者に対して外部提供の意向を確認し情報提供という流れです。
同意を得る内容は、情報を提供する先と利用目的、提供する情報の内容について、ということです。
ガイドラインが設けられたことで、空き家の所有者を特定し利活用などが促進されれば空き家問題も改善されていくと考えられます。実際、空き家や空き地の所有者が不明な場合、のちの相続に大きな影響を及ぼす可能性があります。
使わない家や土地に相続登記は必要ない?
例えば山林など山奥の土地などで、亡くなった人の名義のまま相続登記がされていないケースは多々あります。
また、寺の境内などの檀家など、誰が所有しているか分からずそのまま放置され、老朽化が進んでいるケースもあります。
そもそも使わない家や土地なので、所有者を変更しなくても誰にも不都合がないというケースです。
仮にこれらの空き家や空き地が、道路拡幅で土地収用の対象となった場合、所有者を特定した上で所有権の移転登記が必要です。
法定相続人が数百名?
しかし所有者が亡くなって、次々に相続が発生してしまい、法定相続人が百名単位になっているケースも実際存在します。しかも早く登記を行わなければ、法定相続人も高齢で次の相続が生じる可能性が高いケースもあるようです。
さらに既に連絡が取れないという人も法定相続人に含まれているなど、非常に厄介な相続になってしまいます。
所有者不明の物件を作らないためにも
相続登記は義務ではなく任意なので、別にわざわざ名義を変える必要はないだろうと思うかもしれません。
しかし将来その空き地や空き家などの所有権を変える時、相続登記がなされていないことでとても面倒な問題が起きてしまうことは理解しておく費用があります。
次の世代が空き家や空き地を利活用しやすくなるためにも、相続登記は必ず行うことが望ましいでしょう。