空き家が急増していると耳にすると、壁は朽ち果て剥がれ落ち、ツタが絡んだ廃墟のような建物を想像するかもしれません。
確かにそのような危険な状態の空き家も存在しますが、それはあくまでも氷山の一角。今問題視されている空き家は、普段は人が住んでいない別荘のような空き家でも、売却用や賃貸のために一時的に空き家化している住宅でもありません。
転勤や入院など、事情によって長期間誰も住むことがない状態の空き家や、売却も賃貸としても利用できなくなり行き場を失った状態の家が問題になっています。
空き家が増えた原因は生活スタイルの変化
そもそも空き家が増えた原因には、生活スタイルが変化したこと、また、市場の特性などが関係しています。
昔と違い、今は核家族が当たり前で、結婚して世帯を持った子は自分でマイホームを購入することが多くなりました。実家に住んでいる親が亡くなれば、誰も住む人がいなくなり結果として空き家を生んでしまいます。
古い家では地震に耐えることができるか不安
また、近年では大地震が多く発生し、古い家では耐震性や免震性に不安があるということで中古物件よりも新築物件が注目されがちです。仮に空き家化した家を売りに出しても、新築物件を好む傾向が強いため、売れないという状況が空き家を増やしているとも考えられます。
中古売買の市場が拡大されていない
さらに不動産業界でも中古物件の販売に注力する企業は少数です。その理由として、新築物件のほうが、中古物件より利益幅が大きいということが挙げられるでしょう。空き家を減少させるためには、中古物件の販売経路を拡大させていくことも必要だと考えられます。
空き家増加に大きく関係しているのは固定資産税の特例措置
また、家を所有していれば土地と建物に対する固定資産税を支払う必要がありますが、住宅が上に建っている土地の固定資産税は特例措置が適用され、課税標準額を評価額の6分の1まで下げることが出来ます。
空き家化してボロボロになった建物を取り壊し、更地にしてしまえばこの特例は適用されません。そうなると土地の固定資産税が一気に上がってしまうので、例え誰も住むことのない不要な資産でもそのままにしておき、土地と建物それぞれの固定資産税を支払った方が節税できると考える所有者も多くいるようです。
ただし特定空家に指定されれば特例措置は受けられない
現在は倒壊の危険性が高い空き家や、景観や衛生面を著しく損なうと判断できる空き家などは「特定空家」に指定し、建物が上にある土地でも特例措置の適用対象から外すことも可能になりました。そのため放置していても意味がありませんし、将来的に自分の子が相続することになれば負の資産を譲り渡すことになってしまいます。
空き家化する可能性がある家や、既に空き家になってしまっている家があるのなら、なるべく早く売却や活用という方向で検討していくことが必要だと言えるでしょう。