相続税対策として生前贈与を検討する前に行っておきたいこと
事前に対策を講じておくかによって税額が大きく異なる税金に「相続税」が挙げられます。
講じておきたい相続税対策にはいろいろありますが、行う順番を間違えてしまうと節税どころか損をする可能性もありますので、生前贈与などを対策として検討している場合はとくに注意するようにしましょう。
まずは現状を知ることから
相続税対策を検討する場合、現状を分析した上で遺産分割対策を行い、その後で評価引下対策や生前贈与対策を検討するようにします。
現状分析とは実際にどのくらいの相続税が発生する可能性があるのか、納税資金は準備できるのか、円満に相続が進むのかなどを確認しておきます。
実際に相続が発生したときに、誰が何を相続するのかで家族間のトラブルが発生するケースもありますので、事前に把握しておくことが必要といえるでしょう。
遺産分割対策で行いたいこと
相続が発生したときにどのように遺産を分けるのかを事前に決めておくことで、一定の相続人が負担する相続税が大きくなることを防ぐことができます。
また、相続人全員が納得しなければ遺産を分ける事はできませんので、この場合には生前に遺言書を作成しておくといった対策も必要になるでしょう。
遺言書があっても最低限相続財産を得る権利である遺留分の問題があるので、相続対策以前に円満に相続手続きを進められる事がとても重要といえるでしょう。
現金よりも不動産を相続させたほうが得?
遺産分割対策ができたら評価引下対策を行います。主に不動産や生命保険を活用して行う対策ですが、その内容は現金を生命保険や不動産に変えておき、相続税を軽減させるという方法です。
たとえば1億円で購入した不動産は、相続税算定時の評価額では8,000万円くらいになります。現金で財産を持っておき、相続するよりも不動産に変えたほうが相続税は少なくてすむということです。
しかし、手元に現金を残さない方が良いと考えるあまり、負の資産といえるような物件を購入しても意味がありません。
条件のよい収益不動産を購入するなど、安定した家賃を得ることができる不動産であれば意味があるといえるでしょう。
使える特例を適用させたほうがよい場合もある
また、相続税の負担を抑えるために生前に贈与をする方法を考えることもあるでしょう。しかし、相続においては適用させることで税金負担を軽減できる特例なども準備されています。
たとえば小規模宅地等の特例などがその例で、亡くなった人が自宅として使用していた土地は、配偶者、または亡くなった人と同居している親族が相続したのなら評価額を8割減にして相続税を計算できるという特例です。
特例が適用できれば負担する相続税は大きく変わることになるので、このような特例を適用させる事が出来るかなども踏まえて生前贈与を検討しましょう。