相続した建物を取り壊したのに滅失登記を行わなければどうなる?
亡くなった親名義の土地と建物があり、相続人に所有者名義を変更する前に建物を取り壊してしまったとします。
建物を取り壊すと、建物の滅失登記を行うことが必要ですが、本当なら先に親から相続人に対する相続登記を行うべきだったのではないかなど、いろいろと不安が生じることもあるかもしれません。
では、亡くなった方の名義のまま建物を取り壊し、さらに滅失登記がなされていない状態でどのような問題が生じるのか確認しておきましょう。
建物滅失登記はいつまでに行うことが必要?
建物を取り壊したときには、本来であれば法務局に建物滅失登記を申請することとなります。この滅失登記が行われていないことに対する罰則規定はありませんが、本当であれば建物を取り壊して1か月以内に登記を申請することになっています。
1か月経過した後でも登記の申請は可能であり、特に法務局から期限を過ぎたことで注意を受けるということもありません。
亡くなった親名義のまま取り壊した建物の登記はどうすればよい?
亡くなった親名義の建物を取り壊した場合、すでに建物は存在しない状況なので、亡くなった親から相続人の名義に所有者を変更する登記は必要ありません。
取り壊した建物について親名義のままで、相続人の誰かが建物滅失登記の申請を行います。
建物滅失登記に必要な書類は、
・取り壊しを依頼した業者の建物取り壊し証明書
・取り壊しを依頼した業者の印鑑証明書
・取り壊しを依頼した業者が法人であれば法人の商業登記簿
・親の除籍謄本と住民票の除票など
・法定相続人のうち登記申請を行う方の戸籍謄本と住民票
などです。
他にも必要になる書類があるかもしれないので、念のため事前に法務局に確認しておくとスムーズに手続きできます。
今後も建物滅失登記を行わない場合
もし、建物を取り壊した状態で建物滅失登記をせずに放置していた場合、建物の登記記録が残ったままとなり、固定資産税などの課税対象となる可能性が出てきます。
そのため、建物滅失登記を行わないのなら、自治体などに建物を取り壊したことの届出を行うことが必要となるでしょう。
さらに、仮に取り壊した建物の下の土地を売却したいという場合、建物の登記記録が残ったままなので購入希望者や金融機関などに説明をする必要が出てきます。
このような手間を省くためにも、存在しない建物がある場合には、罰則規定などはないにしろ滅失登記を行っておくことが望ましいといえます。