所有期間が短期間の不動産を譲渡する場合に注意したいことは?
もし不動産を売却することを検討している場合、今所有している不動産は所有して何年経つのか把握しているでしょうか。
所有期間が短期間である場合、長期で所有する物件を譲渡するときよりも税金の負担が重くなります。そのため、どのくらいの所得税がかかるのか、事前に知っておくようにしましょう。
短期譲渡と長期譲渡では大きく税率が異なる
不動産を売却したときに利益が出た場合には譲渡所得とみなされ課税対象となりますが、譲渡した物件を所有していた期間が5年を超えているかどうかで税率が大きく異なります。
所有期間が5年以下の物件を譲渡する際の所得を短期譲渡所得、所有期間が5年を超えた物件を譲渡する際は長期譲渡所得に該当します。
短期譲渡所得の税金は、「譲渡所得×39%(所得税30%、住民税9%)」、長期譲渡所得の税金は「譲渡所得×20%(所得税15%、住民税5%)」で計算しますので、不動産取得後5年以内で物件を売る場合と、5年を超えてから売る場合では、かかる税金が2倍近く変わります。
なお、平成25~49年までは、所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が追加で課税されますのでその点も理解しておきましょう。
年数の数え方のルールに注意!
すでに購入して5年経過しているはずだから大丈夫だと思っていても、「5年」の数え方には独特のルールがあります。
「5年超」という基準は、保有期間が5年を迎える日の次の年の「1月1日」以降に売却した場合です。
13年7月1日にマンションを購入した場合、5年を超える長期譲渡所得の扱いになるのは丸5年を迎える18年の7月1日以降ではなく、19年1月1日以降ということですので間違わないようにしてください。
3,000万円の特別控除を使えば良いのでは?は甘い?
仮に短期で物件を売却する場合でも、「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」を使えば利益をゼロにできるのでは?と思うかもしれません。
確かにこの制度では、自分が住んでいる不動産を売却する場合は居住年数に関係なく、売却したときの利益が3,000万円までであれば税金が掛かりません。
しかし、この3000万円控除を適用させた場合、売却した年とその後2年間は新しく購入した家に対する住宅ローン減税を利用することはできません。
住宅ローンの減税額は購入する住宅が新築なら最大400万円、中古住宅でも200万円控除されます。もし家の買い替えを検討している場合には、3,000万円控除を適用させたほうがよいのか、住宅ローン減税を適用させるべきかなど想定して考える必要があります。
どちらが得はシミュレーションを行うこと
通常のケースでは、自宅を売却して大きく利益が生じた場合には3,000万円控除を利用した方が得することが多く、売却益が少なかった場合は税金を支払って住み替えた後で、住宅ローン控除を受けた方が得する場合が多いようです。
ただしケースにもよるため、事前にシミュレーションを行い確認した方がよいでしょう。