平成26年11月、増加の一途をたどる空き家への対策として、「空家等対策の推進に関する特別法」が制定されました。空家対策特別措置法といわれるこの法律は、どのようなことを定めているのでしょうか。その概要についてご紹介します。
・空き家とは
そもそもとして、どんな状態にある家屋が空き家と定義されているのでしょうか。同法の第2条には「居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物」と書かれています。年間の使用状況をみて、空き家か否かの判断を下すということになっています。
・空家対策特別措置法の内容
空家対策特別措置法では、市区町村が空き家に対して行えることを定めています。具体的には以下のとおりです。
1)空き家の実態調査
2)空き家所有者への指導
3)空き家跡地の活用を促進
4)管理されていない空き家を「特定空き家」と認定
5)特定空き家に対する修繕等の助言、指導、勧告、命令
6)特定空き家に対する罰金措置、行政代執行
本来、空き家といえどもその管理は所有者が行うべきですが、居住者のいない建物は往々にして劣化のスピードが早いものです。気づかないうちに倒壊の危険が迫る状態になったり、不衛生な状況になってしまう可能性もあります。
しかし適切に管理しないと市区町村から行政指導されてしまいます。勧告後も状況が改善されないと、命令がくだされ命令違反に対しては罰金が科せられてしまう。それが空き家対策特別措置法の範疇で行えるようになっています。
状況が悪化して「特定空き家」にされてしまうと、固定資産税の優遇措置もなくなり、いままで払っていた税額の6倍の金額を納めなければなりません。それが状況を改善し、「特定空き家」でなくなるまで続きます。また、行政の指導に従わない場合の罰金も50万円以下と定められており、決して少額ではありません。そのため、特定空き家に指定される前のすみやかな対処が求められます。
・特定空き家に指定される前に
身内に住む方がいないのなら、賃貸として賃借人を見つけるのが最もよい方法かもしれません。誰か住んでいれば、日々の生活のなかでメンテナンスが行われるも同然ですし、家賃収入もあります。
老朽化した家屋で、活用方法がない場合は思い切って解体・譲渡することの検討も必要でしょう。思いいれのある家屋のため、取り壊しを躊躇されるのなら、定期的に往訪し、適切な方法で維持管理していくことが大切になってきます。そうすれば活用方法が定まった場合も、すぐに対応できるでしょう。