自分が今住んでいる持ち家は、子にとっては親が住む自宅であり実家でもあります。いずれ自分が他界して相続が発生すると、子は誰も住むことのなくなった家を片付け、今後どのように管理や活用するかを考えていかなければなりません。
誰も管理ができず、活用方法もないと判断した場合には、空き家となった実家を解体や売却することになるでしょうが、生まれ育った思い出のある家を取り壊すことに精神的な負担を感じて前に進めないケースもあるようです。
いずれ相続が発生して家が空き家になった時のためにも、事前に何らかの準備を行っておくようにしましょう。
相続発生後は何かと忙しいもの・・・
相続が発生すると、様々な手続きなどが必要になるので、ある程度落ちついてからでなければ空き家となった実家をどのように管理や活用するか決める余裕はないでしょう。
そのためにも、子が複数人いるのなら自分が他界した後に家をどうするか話し合っておきましょう。
遺品整理についても話し合っておくこと
また、空き家の行く末だけでなく、苦労するのが遺品の整理です。人が亡くなった後で遺品を整理しようとしても、思い出が詰まった品などは捨てづらいということも考えられます。
自分が他界することを想像したくはないものですが、残された子に迷惑が掛からないためにも、相続が発生する前に身辺整理を少しずつ始めておくようにしましょう。
全ての物や品を片づけようとせず、必要な物は取り分けて取って置き、実家と同じ様に誰が引継ぐか、または活用する方法やいずれ処分するといった取り決めをしておくとスムーズです。
子が相続放棄した場合は?
仮に子が相続自体をなかったことにする相続放棄を選択した場合、空き家は誰が管理するのでしょう。
相続が発生した場合、相続人となる子は、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかの相続方法を選ぶことになります。
・それぞれの相続方法は何が違う?
単純承認は現預金や不動産など、プラスの資産以外にも借金などマイナスの資産も全て相続します。限定承認はプラスの資産の範囲内で、マイナス資産を相続する形です。
そして相続放棄は、相続を放棄するため相続自体がなかったことになり、プラスの財産もマイナスの財産も相続しません。
・管理義務は誰にある?
子の全員が相続放棄をしてしまうと、実家の所有者は自分も名義のままで空き家となってしまいます。
この場合、誰が実家の管理を行う義務を負うのかが問題ですが、民法940条に相続放棄をしても空き家の管理をしなくて良いということではなく、次の所有者が決まるまでは適切な管理をしなければならない規定がされています。
空き家が子に及ぼす影響を考えておくこと
相続が生じた後で、空き家となった実家の管理で自分の子が揉めることは考えたくないものです。仮に相続放棄したとしても、次の所有者が決まるまでは子が管理を行うことになるので、相続が生じてからトラブルにならないためにも事前の取り決めが必要だと言えるでしょう。