相続税を計算するときにどのくらいの現物資産があるのか確認する際、不動産にばかり注目してしまいがちです。
しかし不動産以外にも、自動車や骨董品、美術品など一般的な動産も重要な課税対象となることを忘れてはいけません。
そこで、一般動産が相続税を計算する際、どのように評価されることになるのか確認しておきましょう。
相続税の動産区分
相続の対象となる財産は、不動産、動産、債券、無体財産の4種類であり、このうち動産は土地や建物など固定された資産以外で形があるものを指しています。
さらに、財産評価基本通達により、
・一般動産
・棚卸商品等
・牛馬等
・書画骨董品
・船舶
という5つに区分されています。
この中で一般動産とは、自動車、家電・家具、衣服などの一般的な生活用品、そして事業用の車両、機械装置、工具器具・備品なども含まれます。
建物に付随する給排水設備や空調設備などは建物付属設備として評価されますので、一般動産としては扱いません。
一般動産の評価方法
一般動産の評価は1個または1組ごとに行うこととなりますが、種類が多くそれぞれを評価することは難しい場合、1個または1組あたりの評価額が5万円以下であれば1世帯、1農家、1旅館という形で評価してもよいことになっています。
そして評価額については、市場における実際の取引価格である売買実例価格、または専門家による鑑定結果を用いた精通者意見価格のいずれかで金額を決めることとなるでしょう。
もしくは一般動産の課税時期における新品の小売価格から、経年による減価償却分を差し引いて計算することもありますが、その際には定率法を用いて減価償却分を計算します。
課税対象とならない資産もある
すべての一般動産が相続税の課税対象となるわけではなく、中には課税対象とはならないものもあります。
その例として挙げられるのが祭祀財産で、仏壇や仏具、墓地、墓石といったもの、神棚なども課税対象には含まれません。
さらに歴史的価値の高い美術品などのうち、相続税申告期限までに国や地方公共団体などに寄付をしていれば課税されない財産として扱われます。
不動産の評価よりは簡単に計算できる
相続税の課税対象となる一般動産は、主に自動車や家具家電など普段使用しているもののことです。どのように評価すればよいのか迷うかもしれませんが、一般的に用いられているのは先に述べた売買実例価格や精通者意見価格などであり、不動産を評価するときと比べれば比較的計算は容易ということが特徴です。