相続する相手が孫の場合には税金の負担が増える?
2020/04/21
相続のこと
自分の財産を相続で孫にも分けようと考えている方もいることでしょう。かわいがった孫に自分の財産を引き継いでほしいという気持ちがある方も少なくありませんが、その場合には相続税が2割加算され税金の負担が重くなってしまいます。
なぜこのような制度があるのか、その内容を把握しておきましょう。
なぜ2割加算の制度が設けられている?
相続税額の2割加算とは、遺産相続した方の中で、一定範囲の方には本来納付する必要のある相続税に2割加算するという制度です。この制度が設けられている理由は相続税額の負担を調整することです。
財産を多く保有している方の場合、相続人である子に財産を引き継いでもらった時点で相続税が発生してしまうことになるでしょう。そうなると財産を引き継いだ子がなくなり、その財産を次の相続人である孫が引き継ぐことになれば、また相続税を負担することになります。
2度に渡り税金を負担させることになるので、最初の相続の段階で子ではなく孫に直接財産を引き継いでもらおうと考える方もいることでしょう。
しかしこの状況を無条件に認めた場合、孫は相続税を1回分免除されてしまうことになるので、本来の税金の負担が実現されなくなってしまいます。
そのため、直接の相続人ではない方、亡くなった方と縁の遠い方などが相続において財産を取得する場合、相続してもよいけれど税金は多めに負担してもらうことを制度として設けているのです。
孫が相続しても2割加算の対象とならないこともある
相続や遺贈、相続時精算課税に係る贈与で財産を取得した方が、亡くなった方の一親等の血族(代襲相続人となった直系卑属である孫含む)および配偶者以外という場合は、相続した方の相続税額に本来の相続税額の2割相当額が加算されるとされています。
そのため子が先に亡くなっていることでの代襲相続であれば、孫は2割加算の対象にはなりません。
なお、亡くなった方の養子は一親等の法定血族となるため相続税額の2割加算の対象には本来であればなりません。ただ、養子が孫の場合は、代襲での相続ではない限り、相続税額の2割加算の対象となりますので注意しましょう。
孫以外にも2割加算の対象となる方
他にも相続税額の2割加算の対象になる方に兄弟姉妹や甥・姪などが挙げられます。
亡くなった方の配偶者や子(直系卑属)、親(直系尊属)は2割加算の対象ではなく、これ以外の方が相続人となれば2割加算の対象となるからです。
すでに子や親などが他界しており、兄弟姉妹や甥・姪などが相続人となった場合は2割加算されると認識しておいてください。
孫が2割加算の対象となる具体例
具体的に孫が亡くなった方の財産を相続し、2割加算になるケースとして挙げられるのは、
・亡くなった方から遺贈や死因贈与を受けた場合
・亡くなった方から生前贈与を受けていたけれど、贈与後3年以内に被相続人が亡くなった場合(遺言での財産の取得もあり)
・亡くなった方から生前贈与を受け、相続時精算課税制度を利用していた場合
・亡くなった方の養子になっていた場合
です。