相続後のトラブル防止につながる
相続時精算課税制度のメリットとして挙げられるのは、親または祖父母が亡くなったときに相続が発生し、相続人同士が財産分与でトラブルを起こしにくくなることです。
親が突然他界してしまうと、相続財産の土地を誰に引き継いでほしかったのかわからず、他の相続財産とどのように分けるべきか悩むこともあるでしょう。
しかし生前贈与で推定相続人に土地を譲ることは、親が生きている間に行う行為のため、親の意向が確実に反映されることになります。
そのため生前贈与で相続時精算課税制度を利用するのなら、贈与者である親または祖父母と受贈者である子または孫だけで決めず、推定相続人全員で話し合っておくことをおすすめします。
相続税の節税効果も期待できる
親が保有する土地が将来値上がりすることが予想される場合には、相続時精算課税制度を適用させて先に子に譲ることにより、節税効果も期待できます。
相続時精算課税制度は贈与税については2500万円までかかりませんが、その後、贈与者が亡くなり相続が発生したときには、贈与財産は相続財産となり相続税の課税対象となります。
ただ、相続時精算課税制度を適用させた財産は、贈与時点の価額で相続税を計算するため、将来的に土地が値上がりする可能性があるなら相続税の節税効果が見込めます。
仮に土地が値下がりした場合には、本来よりも多く税金を負担しなければならない可能性も出てきますので、その点は理解した上で制度を利用しましょう。
一度選択すると暦年贈与に戻せない点に注意を
相続時精算課税制度は、一度選択すれば暦年贈与に戻すことはできません。
暦年贈与とは、1年間の贈与額が110万円までであれば贈与税はかからない制度ですが、長期に渡り少しずつ財産を贈与するときに有効です。
相続時精算課税制度は控除の金額が大きいことがメリットであり、同一の父母または祖父母からの贈与は限度額まで何回でも利用できます。
しかしその反面、最大2500万円までが限度となっているため、仮に30年かけて贈与するなら暦年贈与を使うと3300万円まで非課税となります。
もし節税対策として将来、暦年贈与を利用する可能性があるのなら、どちらを選ぶべきかよく検討が必要です。