相続が発生すると、被相続人が名義となっている不動産を相続人に変更する手続きを行います。これが「相続登記」ですが、法的義務がないため相続手続きの中でも後回しにされがちな手続きです。
しかし亡くなった人の名義のままで放置しておくと、色々なトラブルが生じることになり兼ねませんので、相続した不動産はできるだけ早く相続登記を行うことが必要です。
相続登記をしないまま放置される例もある
相続登記を行うには登録免許税が掛かります。登記を自分で行う人は少ないので、司法書士に依頼することが一般的ですが、そうなれば報酬を支払う必要も出てきます。
出費が掛かる上に法的な義務はなく、相続税の申告と異なり申請期限も設けられていませんので、手続きも面倒だし費用も掛かるからという理由で被相続人の名義のまま放置する例も決して少ない訳でもないようです。
今すぐは不都合がなくても・・・
仮に名義を変えなくてもしばらくは遺族に不都合も生じることはないでしょう。しかし相続登記を行わないままにしていれば、何かの理由で家を手放さなくてはいけなくなった時に、被相続人の名義のままの不動産は売却することができません。
家を担保にお金を借りたいという場合でも、被相続人名義で金融機関が融資を実行することはありませんので、いずれ不都合になる事態が生じることを念頭に置いておく必要があります。
相続登記を早く行った方が良い理由
不動産の名義を変更する相続登記には、遺産分割協議書を添付する必要があります。法定相続人が話し合いをした結果、遺産をどのように分けるかを決めて書面にしたものが遺産分割協議書ですが、法定相続人全員が署名と実印の押印をして作成します。
しかし年月が経過すれば法定相続人の数が増え、気が付くと2桁にまで拡大されるケースもあります。交流や面識のない相続人に遺産分割協議に賛同してもらう手間がかかり、中には自分の権利を主張して印鑑を押さないというケースも出てくるかもしれません。
また、相続した不動産の隣から土地の境界確定を求められた場合など、名義が被相続人のままではすぐに応じることも出来ないので、早めの相続登記が必要です。
相続登記しないまま放置すると子や孫に影響が及ぶことに・・・
中には古く資産価値のない家を相続したくないとう理由で、意図的に名義変更をしないケースもあるようです。
建物の管理や固定資産税を負担することを避けるために相続を敬遠するといった理由でしょうが、相続登記が先送りにされれば、その子や孫世代に影響が及ぶことは理解しておくべきでしょう。