土地を取得しても登記を行わなければならない義務は発生しておらず、例えば相続による不動産の所得であれば亡くなった方の名義のままということも珍しくありません。
そのため、土地や建物の登記簿を法務局で取得したとき、所有者として記載されている方がいったい誰なのかわからないケースや、所有者である方は知っているものの登記簿に記載されている住所が変わっていて連絡が取れないといったこともあります。
このような土地を所有者不明土地というようですが、現在この所有者が誰かわからない、所有者と連絡が取れない土地が増えていることが問題視されています。
所有者不明土地が増えている理由
登記簿上の所有者不明土地は、このままm増え続ければ2040年には北海道の面積に相当するほどの広さまで増加するといわれています。
この所有者不明の不動産が増えてしまう理由として、
・誰も相続人がいない
・誰が相続するか決まらなかった
・相続人が登記簿名義を以前のまま変更していない
といったことが背景にあると考えられます。
登記名義を変更せずに放置してしまう理由として、仮に相続などで所有を引き継ぐことになっても、不便なエリアだったり、ニーズの低い場所の土地であることで活用や売却などが検討できないことが挙げられるでしょう。
現在は核家族化が進んでいる状態なので、親が所有していた土地に子が世帯を持って家を建てるといったケースは多くなく、相続で引き継いで名義を変えても税金や管理の負担が増えるだけ・・・と考えてしまうこともあるようです。
しかし、亡くなった方のままで名義を変更せず、また次の相続が発生すればだんだんと登記簿上の記載と実態がかけ離れることになります。
次世代やそのさらに次の世代がいざ土地を売却したり活用しようと考えたとき、登記に手間や時間がかかることになりますので、土地を相続したら早めに名義を変える相続登記を行うようにしましょう。
新たな法律が全面施行となり登記を促されることに
実際、空き地の所有者の約半数は物件を所有することに負担を感じていたり、所有権を放棄してもよいと考えているようですが、だからといって放置してよいわけではないのです。
2019年6月には「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が全面施行となりました。この法律では、土地名義の方がすでに亡くなって長期間経過しているのに相続登記がされておらず名義が変わっていない場合、法定相続人などを探索し登記官の職権で長期間相続登記未了の旨を登記に付記し、登記手続きを促す特例も設けられました。
後でトラブルが起きてしまわないためにも、土地など不動産を相続したときには早めの名義変更を行うようにしてください。