2018/03/22
賃貸住宅に入居することを希望していても、単身の高齢者や低所得者などは入居を断られる傾向が強いと言えます。
そこで、このように入居を拒否される人を対象に、空き家や空き部屋を活用し、家賃を補助する新しい制度が始まりました。
家賃の一部が自治体から補助される?
新しい制度では、まず空き家の所有者が物件を登録し、改修費用や家賃の一部を自治体が補助するという内容です。
誰もが住まいを安心して確保できるように、国も2020年度末までに全国で17万5千戸の登録を目指しています。
制度ができた背景
65歳以上の単身世帯数は、2015年では600万世帯だったものが2035年には762万世帯に増えると見込まれています。
しかし単身高齢者や低所得のひとり親世帯などの場合、賃貸住宅に入居したくても孤独死や家賃滞納リスクを懸念して断られるケースも多々あるようです。
全国の空き家数は2013年の総務省の調査では820万戸あると言われており、その20年前と比べると約1.8倍まで急増しており、空き家を活用して住まいに困っている人たちをサポートできないかと考えられるようになりました。
制度を活用するためには?
制度を利用するには、空き家などを所有する者が賃貸住宅として都道府県や政令市、中核市に届け出る必要があります。
ただし、高齢者などの入居を拒まないこと、床面積25㎡以上(シェアハウスは専用部分9㎡以上)であること、耐震性があることなど、登録可能な条件も設けられています。
登録された物件情報を自治体がWebサイトなどに公開し、適正な物件か指導監督を行い、入居後のトラブルにも対応するという仕組みです。
改修工事についても助成を受けることが可能
耐震制度を保つための改修工事やバリアフリー化が必要な物件については、所有者に対して最大200万円が助成され、低所得者の家賃については月4万円まで補助されます。
また、連帯保証会社に対する債務保証料についても最高6万円助成されるなど、安心して空き家を賃貸に活用することができる内容です。
制度のさらなる充実が求められる
空き家が上手く活用されることで、住宅市場で入居拒否を受けがちな高齢者などが賃貸物件を安心して借りることが出来る様になるでしょう。
近年では家賃を賄うことも難しい低所得者が増えつつあるため、このような制度によって家賃が補助されることで困窮者の生活が改善されることが期待できます。
しかし地域で孤立しやすい単身高齢者に対しては、住宅だけでなく見守りサービスなど、入居した後の暮らしも支えていく仕組みも必要だと言えるでしょう。
今後高齢化がさらに進み、高齢者は急増すると言われているため、さらに安心した生活を確保できる仕組みが確立されることが期待されると考えられます。