2019/05/22
不動産を売却すると、税金が多く課税されることに不満を感じる方もいることでしょう。ただ、売却対象である不動産が相続により取得したものの場合、相続税の取得費加算の特例を上手く適用させることで、税金の負担を抑えることが可能です。
そこで、相続税の取得費加算の特例とはどのような制度なのか、なぜ税金負担を抑えることに繋がるのか確認しておきましょう。
譲渡所得を低く抑えることが節税に繋がる
相続により得た不動産や株式などは、相続税の申告期限から3年を経過するまでに売却すれば、納付した相続税の一定額を売却した不動産や株式の取得費に加えることができる制度です。
売却の際に係る税金は、譲渡所得の金額によって左右されます。税金を抑えるためには、この譲渡所得が低くすることが必要ですが、譲渡所得の計算方法は、
「譲渡収入-(取得費+売却費用)=譲渡所得」で計算されます。
この計算式からわかるように、取得費の金額が増えれば、その分、譲渡所得を少なくすることができ、結果として税金を抑えることに繋がります。
取得費として加算できる相続税額とは?
取得費として加算できる相続税の金額は、
相続税額×{譲渡財産の課税価額/(相続税課税価格+債務控除額)}=取得費に加算できる相続税額
で計算されます。
納付した相続税のうち、売却した財産に対応する部分は控除できるということです。
計算式におけるそれぞれの金額は、相続した不動産を売却する方の金額のみが対象ですので、例えば相続税額といってもその他の相続人が納付した税金までは含まれません。
また、譲渡益までが上限となる点には注意しましょう。
取得費加算の特例を適用させるには要件がある
ただし、取得費を加算するためには一定要件を満たすことが必要です。
そもそも売却した不動産は相続や遺贈で取得したものであることが必要ですし、相続税が課税されていること、さらに相続が開始された日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却することが必要です。
支払った相続税を取得費として加算する制度のため、相続税を納付していることが条件となります。配偶者控除など特例控除の適用により、相続税を納付していない場合には適用されませんので注意しましょう。
もし相続税額が確定申告までに決まらない場合
もし確定申告までに相続税額が決まらないという場合には、まずは取得費加算の特例は無視して確定申告を行っておきます。
一旦、多く所得税を納付することになってしまいますが、後日、改めて相続税額が確定したら、取得費加算の特例を適用させる更正の請求で申告内容を修正するようにしましょう。