2017/12/05
相続税は基礎控除額の引き下げや税率の変更などで増税となり、納税対象となる人が増えたと考えられます。
相続税を軽減するためにも生前贈与による相続税対策が重要ですが、贈与したほうが贈与税の課税で余計納税額が増えるのではないかと不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし相続税は贈与税の非課税枠などの仕組みを利用する事によって、上手く軽減する事に繋げる事が可能です。
贈与税の非課税枠を利用した対策を講じるなら
贈与は年間110万円までなら課税されない基礎控除枠が設けられています。この非課税となる枠を利用して、毎年110万円まで続けて贈与すれば相続財産を減少させ相続税を抑える事ができます。
ただしこの贈与税の非課税部分を活用した相続税対策を行う場合には、注意するべきポイントを抑えた上で活用する事が重要です。
なぜわざわざ111万円の贈与にする必要がある?
税理士さんなどに相続税の節税対策を相談すると、贈与税の基礎控除額110
円から1万円だけをオーバーさせて申告する事を勧められる場合があります。
110万円までなら贈与税がかからないのに、わざわざ1万円だけオーバーさせる事に何の意味があるのだろうと思うかもしれません。
しかし相続税の税務調査で、この贈与が問題視されないようにする事を目的としています。
税務調査の実施割合は?
税務調査は相続税申告のうち、4件に1件の割合で実施されています。税務調査が実施されれば、約8割の人が追徴課税を負う可能性があります。
相続税の税務調査で立ち会わなくてはいけないのは、残された遺族ですので生前贈与で相続税の負担を軽減するつもりが、やり方を間違ってしまえば反対に負担を掛ける可能性がある事を理解しておきましょう。
税務調査で問題視されやすい部分とは?
税務調査で問題視されるのは贈与を受けた側がその事実を理解していない事です。勝手に作った子や孫の通帳に毎年一定額を入金していて、肝心の子や孫はその事実を知らなかったというケースは、税務調査で最も問題視されている事です。
贈与は贈与者と受贈者が同意のもとで契約が成立します。そのため子や孫の通帳に勝手に振り込んでいた場合には贈与契約は成立していないと考えられ、贈与の実態がなければ結果として相続税が追徴課税される事になります。
贈与税の申告は受贈者本人が行う事
このように将来的に生じる税務調査で追徴課税が発生しないために、110万円ではなく111万円の贈与を行い、生じた贈与税を申告し、正しく納税が事前に行われている事をアピールする必要があります。
しかし贈与税を申告するのは財産を受取った子や孫です。勝手に贈与者である親や祖父母が、子や孫の名前で贈与税の申告書を提出してしまえば、筆跡が違う事で相続税が追徴課税される事になるでしょう。
相続税の税務調査では筆跡なども重視されますので、贈与税の暦年課税による相続税対策を行うのなら、贈与を受けた本人が申告書を作成して税務署に提出するようにしましょう。