2018/05/08
近年、放置空き家が荒れた状態となり、既に建物の一部が崩れて隣家に直撃してしまいそうな状態にあるなど、問題は深刻化しています。
このような空き家による被害は、豪雪地帯などになると更に深刻です。例えば空き家の屋根に積もった雪下ろしを行わなければ、家が潰れてしまう可能性もでてくるからです。
雪下ろし作業を怠って隣家に被害を及ぼすと・・・
業者に雪下ろし作業を依頼した場合、仮に作業員を1人雇えば2万円で、3人で作業を行ってもらえば1回につき6万円かかります。ひと冬越すのに数十万円という出費がかさんでしまいます。
仮に実家が倒壊して隣家に被害を及ぼした場合には、民法第717条で規定されている「土地工作物責任」に基づいて修理代など損害額を請求されることになります。
土地工作物責任とは、土地に設置または保存された工作物(ここでは空き家を指します)が安全性を欠いている状態で、それにより他人に損害を与えた場合には占有者や所有者が責任を負うというものです。
豪雨による地盤の緩みで石垣が崩壊したら?
仮に雨が多い地域で、豪雨で地盤が緩んで石垣が崩壊し、隣接している家を全壊させてしまった場合なども同様です。
防ぐことができた可能性があったのに望ましい措置が取られなかったと判断されれば、石垣を所有する人に損害賠償が認定されます。倒壊事故でケガを負った人や亡くなった人などがいれば、安全性を欠いていると判断されれば賠償責任を負うと考えておきましょう。
家のシロアリによる被害は空き家が原因?
では家にシロアリが発生した時、隣家の空き家で発生したシロアリが影響するという被害などは考えられるのでしょうか。
シロアリは成虫になれば羽アリになり、新たなエサ場に旅立っていきます。生態的にはじめじめとした湿気のある場所を好むため、管理されていない空き家はシロアリにとって格好のエサ場と言えます。
そのため、家の近所に空き家や空き倉庫などがあると、シロアリの影響を受けると考えてしまうのは無理ないでしょう。
ただしシロアリは、種類にもよりますが基本的には発生源から移動して増殖することはほとんどありません。注意したいのはシロアリ被害にあった空き家の景観が悪くなること、そして耐震性に問題が発生するため、倒壊の危険性が考えられるという点です。
空き家は放置しないことが原則!
家屋倒壊による被害は様々ですが、害虫や害獣の棲み家になりやすいのは事実ですし、衛生面も景観にも悪影響を及ぼします。何よりも倒壊する危険性が高い場合、隣家の住民にとっては不安材料でしかありません。
このように近隣の住民に不安や迷惑をかけないためにも、空き家は放置せず適切な管理を行うことが必要だと言えるでしょう。