2019/04/22
会社が保有する不動産を売却して借入金の返済などを行いたいという場合、まず注意しなければならないのは消費税です。
不動産は土地と建物がありますが、どちらも消費税の課税対象となるわけではないので、どのように納める消費税を計算するのか確認しておきましょう。
納める消費税の計算方法
納める消費税は、預かっている消費税から支払った消費税を差し引いて計算します。
商品やサービスを販売すると、一旦はその代金と同時に消費税を預かります。反対に材料や製品などを仕入れたり、経費を支払った時には支払い先に預ける形で消費税を支払うこととなります。
ただ、中には消費税のかからない売上である「非課税売上」があるので注意が必要となりますが、不動産の売却においては「土地」が消費税のかからない部分に該当します。
また、受取利息も非課税の扱いです。利息なので売上ではないと思うかもしれませんが、税金の計算上は非課税の売上と考えます。
そのため、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて納める消費税を計算する時、差し引く消費税は消費税がかかる売上に対する部分のみということです。
業種によって不公平が生じないために
業種によっては、販売に消費税がかからない非課税売上という場合もあります。
しかし、売上をあげるために支払う経費には消費税がかかりますので、その場合、消費税を預かることなく支払いだけが発生してしまいます。
そこで、差し引くことを可能とする消費税は、消費税がかかる課税売上に対応するもののみにする扱いとなっています。
不動産の売却の場合、土地は非課税ですが建物は消費税がかかりますので、経費の支払いにかかった消費税は、土地の売上についてのものも含まれています。
不動産会社に支払う仲介手数料など、課税売上と非課税売上のどちらにも関係する経費があるなら、経費にかかった消費税分の全額を差し引くことはできないので「課税売上割合」という割合を使い計算するが必要です。
課税売上割合については、国税庁の公式Webサイトに掲載されていますので参照してください。
参考:国税庁 課税売上割合に準ずる割合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6417.htm
課税売上割合に準ずる割合を使える場面とは?
合理的であると判断される場合に、課税売上割合に代えて「課税売上割合に準ずる割合」で仕入控除税額を計算することができます。具体的には、次のような場合に使うことが可能です。
・たまたま土地の売却があったなど、課税売上割合が会社の実態を反映しない臨時的な事由が発生した場合
・課税売上となる商品小売業と、住宅賃貸など非課税売上となる事業を営んでいる場合
ただ、この制度は必ず使うことが可能というわけではなく、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を税務署に提出し、承認してもらうことが必要です。